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          異質との再会2




ここはダンテが住まう世界とは、別世界。
異世界であるという思考を敷いて男の話を聞けば案外すんなりと頭に入ってきた。
この世界では、まだ宿敵である魔王ムンドゥスは世界を制覇していて、彼の言うネロ=アンジェロをボスとして魔王を倒すべく奮闘しているという。
ちなみにダンテ自身は死んだということになっているらしいが。
最後まで聞き終わったダンテは「そうか」と一言呟いた。
つぶさに説明しろ、と言われれば言うとおりにするしか無い男は知っていることを全て言い終えた。
まだ未だによくわからずにいるらしく怒られている子供のようにこちらの様子を伺っている。
ダンテはそれに気付くと、髪の毛を掻きながら困ったような顔を浮かべた。
「あー…だからな?確かにダンテだ、でも俺はこの世界のダンテじゃない」
「………は、はあ」
「それでちょっとしたトラブルに巻き込まれてな、違う世界に来てしまったらしい」
状況が全く読めていない彼に、ゆっくりと語る。
自分の世界のこと、暮らしのこと。
デビルハンターをしていること。
昔悪魔に襲われ、命があったのは自分であること。
ムンドゥスを倒したこと。
始めこそは怪訝な顔を浮かべていたが、自分の世界との余りの違いとそれを嘘では無いと思ったのか、神妙な顔つきに変化していた。
「それでは……貴公は本当に別世界の方なのか」
「ああ、みてえだな」
短くだが、ハッキリそう言うと、男は更に考え込んだように眉を寄せた。
信じられない自体だ、早々飲み込めるものではないだろう、そう思ったダンテとは別に、目の前にいる男は意外に早く理解を見せた。
「承知致した、ダンテ殿」
魔界のような場所だ。
こういうことはもしかしたらいくらもあることなのかもしれない。
いや、ただ自分も悪魔であるから時空を越えるくらいの力への理解が広いのかもしれないが。
「そうだ、アンタの崇拝している男…ネロ=アンジェロは生きているのか?」
「ええ、もちろん、何故?」
「いや…」
ダンテはその先を言わなかった。
まさか、仕えている主を違う世界とはいえ切り裂いたとは言い辛いものがあったからだ。
生きている、その事実にダンテは喜びか悲しみか、顔を歪ませた。
彼は覗き込むようにダンテを伺ったが、それきりでそれについては何も言わなかった。

「ダンテ殿、我が居城に来てくださいますな?」

目を少し見開いてから、ダンテは苦い笑いを浮かべる。
「いや、遠慮しとくぜ」
行くということは自分の世界とは違うといえども兄に会うことになる。
どういう顔をすればいいのかわからない。
それに獣の首を追うという目的がある…というのは次に出る口実だが。
「盟主も喜ばれる、是非、頼みます」
頭を下げて深々と願いを口にする。
真面目そうな奴に頼まれごとをするのがダンテは苦手だった。
「……わかった、だが・同行者も一緒だ」
どう渋ったって断れない気質だと自分で理解しているからだ。







   -続-







しょうがねえ、会ってやるよ




2005.11.11