突然の停電。

普段光という光に囲まれている都会なのでいざ電気が無くなると人は不安に刈られる。

こんなときに新入生歓迎コンパなんて馬鹿らしいものをやっていたなんて、タイミングが悪過ぎる。

大勢の気配が慌てて必要以上に動き回っている。

それらが行く手を阻んで邪魔で仕方ない。

乱暴に人を押し退けて目的を探す。

甲高い声を上げたり慌てたりで辺りはうるさい。





「月くん、大丈夫ですか?」


やっと見つけた存在は恐ろしく静かでただじっとしていた。

こちらを確認すると彼は驚いたように目を見開く。

「流河、こんなに人がいるのによく僕だってわかったね」

あんなに耳障りだった音が一切耳には入って来ない。

彼の落ち着いた声だけが響く。


「月くんならどんな状況でも見つける自信がありますよ」


手を取り闇に紛れてキスをした。










   −END−


貴方は名前の通りなんですね。
なんて、言ったら怒られますか?

2004.12.15