考えをまとめ、膨大な資料の中からヒントを得て、更に互いの推理を言い合う。
今まで主にやってきた仕事は確かに彼のおかげで楽にはなった。
それにとてもおもしろい。
夜神イコールキラの線もこれだから捨てられない。
字の羅列に目を通し始めて数十分。
紙を捲る音が無くなっていることに気付く。

「月くん?」

隣りを見ればソファに身を沈め寄り掛かるように瞼を閉じている夜神。
よく聞けば、薄い唇からは吐息が漏れている。
「月くん、起きてください」
「ん…」
肩を揺すり声を掛けると小さく声が漏れた。
起きるかと期待したが、それは脆くも崩れ去る。
彼は眉を寄せただけで、また静かな眠りに入って行った。
「月くん」
強い呼び掛けにも答えない。
息を吐き、携帯を取り出す。
そして見慣れた番号をコールする。
「ワタリ毛布を」
そこまで言い掛けて、言葉を止める。
電話の向こうではワタリが毛布ですかとこちらの言葉を繰り返す。
「いや、やはりいい…」
短く断り、携帯を畳む。
そして、なるべく優しく彼を抱き上げる。


「もう少し寝ていてくださいね」


小さく声を掛けると、まるで応えるように身じろぐ。
その子供のような様子に口の端が緩むのだった。

ベッドまであと少し。










   −END−


月だって子供っぽいところを見せることもあるんじゃないの?

2004.12.13