捜査本部とはいえ、ここは普通のホテル。
スィートなだけあって、部屋は広々としているし、人数は一人部屋で無いことは一目瞭然である。
そこへ二人きりとなると言葉数もたまに減るものだろう。
推理や捜査をしているのなら尚更。
しかし竜崎と、月となるとこれはまた別になる。
Lと言われている男は月に想いを寄せているから。
こんなチャンスは二度と無いと言わんばかりにモーションを掛けるのだ。
そして今も。
「ここは一応仕事場ですよね?」
四人掛けほどの長いソファーに、寄り添うように(竜崎が)座っている。
その彼が真っ黒な瞳をぎょろんと向け、覗き込みながら問うた。
「ん、まぁ」
月は彼に見向きもせず、興味無さ気に言葉を吐いた。
そんなことは気にしていないのか気持ちを高揚させて更に近寄った。
「では、私たちの恋愛はオフィスラブということですか」
思わず顔を上げる月。
「ははっ、竜崎」
そしてとても綺麗な微笑を浮かべ、竜崎に向く。
「恋愛になって無いんだからラブは無いだろ」
固まった空気を気にすることも無く、月はまた視線を外す。
氷付けになった竜崎は、しばらくはそのままだったが立ち直ったのか「じゃあ…」とまた台詞を繰り出すのだった。
そんなやり取りはすでに10回目である。
−END−
まず恋愛になってから言えよ。
2004.12.10
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