時に、世界一の探偵と呼ばれるL。
彼は恋愛には詳しく無いようだ。
そうでなければ。
「貴方は罪作りな人だ」
熱の籠った瞳で。
「こんなにも私を夢中にさせるなんて」
ドラマと同じ言葉を繰り返したりしないだろう?
「竜崎さっきからあのセリフしか言わないな」
相沢は遠く離れた位置で今日何回目かの音に耳を傾けながら隣りの松田に呟いた。
「テレビドラマの影響らしいですよ」
その場にいたのか、知った口調で述べる。
ふうんと相沢は軽く返す。
「月くんって優しいですよね」
何故突然そうなるんだと眉を寄せた。
「あんな言葉笑顔で聞いてあげてるなんて」
にこにこと月を見つめる松田。
相沢も同じように視線を向けたがひくりと引きつる。
「いや、あれは笑顔と言うか…」
「竜崎……」
言葉を続けようとしていた口が、月の声に押し止どめられる。
「「あ」」
傍観者を決めこんでいた二人の声が見事にハモったのは、竜崎がいきおいよく椅子から落とされたからだろうか。
それとも月の笑顔での脅しのせいだろうか。
どちらにしても関わるとやっかいだと理解した二人は竜崎にドラマを見せるのはよそうと誓い部屋をこっそり後にした。
−END−
ドラマを見せたのが罪なのか止めなかったのが罪なのか。
それとも竜崎を虜にした月が罪なのか。
2004.12.6
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