ホテルの一室。
部屋の広さにそぐわぬ二人という人口。
かちゃかちゃと音を立てながらガラスの器の中のヨーグルトを掻き回していた竜崎がその手を止める。

「月くん何か賭けてのゲームでもしませんか?」

月の機嫌が悪くなるのが手に取る様にわかる。
「賭けなんてする気は無い」
賭け事なんてする気は無いし、くだらないとさえ思っている月の態度は厳しい。
「いえ賭けといっても大したものではありません」
冷たい目で見られているけとになれているのか竜崎は平然と続ける。
「ゲームはわかりやすいボードゲームでどうでしょう?」
新たな提案にもいい顔はしない。
「やらないと言ってるだろ」
きっぱり断言をするその様子を指を唇に当てながら見やる。
「…怖いんですか?」
ムッと眉を寄せる。
「怖くは無い」
「いいえ、月くんは私に負けるのが怖いんです」
そんなことをいわれて黙っている月では無かった。
負けず嫌いというのはこういうとき実に乗せられやすい。
「…わかった、じゃあやってやる」
ギラと瞳の奥に鋭いものを光らせ問う。
竜崎は掛かったと言わんばかりに、密かにニヤリと顔を歪ませる。
「で?賭けの対象は?」
「そうですね……」



「メイド服着用なんてどうですか」



「やっぱりやらない」
目線を落とし溜め息を交えながら返す。
それに焦るのは竜崎。
「何故ですか」







「僕が着るのはともかく、お前のメイド服なんて見たくない」



「……問題はそこですか」
キッパリと言い切る月に唖然する。
その後、月にキラの話題を振られ、この話は無かったことになるのだった。










   −END−


だって、そんな見苦しいもの見たくないだろ?

2004.11.30