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「ハイ、僕のおごり」



「ありがとうございます、何か御礼を」
「別にいいよ、缶コーヒーくらい」
月のコーヒーから空気の抜ける音が聞こえる。
ブラックの缶を傾け、口の中に注いでいる。



「どうしたんだ?飲まないのか?」
いつまで経っても缶を見つめたまま動かない流河に月が声を掛けた。





「プルトップ。開けるの苦手で」


困ったように呟く。
月は「あぁ」と納得の声を出す。
「そういうことか」
手の中からひょいと缶を奪い取る。
そして手馴れた手付きで片手だけで開けてしまう。
缶の開く音と同時にコーヒーのいい香りが漂った。
「ハイ」
まだ暖かい温もりが流河の手の中に戻る。
「ありがとうございます」
月のとは違う甘みの強いコーヒー。
それでも流河には少し苦いと感じたが、ふわりと身体の中から温かくなる。



「数倍おいしいような気がします」



「大袈裟だな」
軽く笑う月。
二人して、缶コーヒーを啜る。
なんだかそれだけで寒さも和らぐような気がした。










   -END-


貴方がしてくれたことがこんなにも。
貴方がしてくれたことが、こんなにも。

2004.11.25