ベッドで二人、情事の後疲れ果てていた。
スタンドの電気さえも消え、カーテンを引いていない窓は街の明かりで溢れている。
横になってシーツに包まる竜崎。
月はその背中を見つめていたが、大きく一度息を吸うと唾を飲み込み口を開く。



「竜崎……好きだ」



吐き出された言葉に竜崎はいきおいよく飛び上がった。
上半身を起こし、目を目一杯見開く。
口をポカンを開けたまま、固まっている。
乱れたままの髪の毛がまた間抜けさを引き立てていた。
「何とか言えよ」
顔を真っ赤に染めた月は上目遣いで睨み、小さく呟く。
竜崎は一度長く瞬きをし、キッパリ言い放つ。




「………寝ます」




それからふらりとベッドに沈む。
シーツを顔が隠れるまで被り、背を向けた。
「は!?」
月は気の抜けた声を上げる。
「月くんがそんなこと言うわけありません、これは夢です」
「ちょ、竜ざ…!」
焦った月は肩に手を置き、彼の体を揺さぶる。







「偽者には興味ありません、さっさと失せてください」





あっという間に竜崎は寝息を立てている。
呆気に取られている月。
空中を漂っていた死神、リュークは月の背後から現れて寝こけている竜崎に目をやる。
『こいつバカだな……折角月が…』
「寝る」
本人の月は吸い込まれるようにベッドに沈み込む。


『大丈夫か月……泣きそうだけど』


リュークはそんな月を心配そうに見つめる。
月は歯を食いしばり、それから一言も声を発しようとしなかった。










   −END−


これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ。

2004.11.25