ホテルで二人。
他のメンバーが帰路に着いてから竜崎と月は静かに抱き合っていた。
寄り添うようで有りながら、深く深く相手の体温を探る。

「私と会わない間浮気などしませんでしたか?」

額にキスをおくりながら竜崎が問う。

「しないよ、するわけ無いだろ」

目を閉じていた月は少し眉を寄せ竜崎を見やる。
少し離れるだけで彼はすぐに浮気の心配をする。
そんな気も無い月としては毎回嬉しくない心配だった。

「いえ隅々まで確認するまでわかりません」

襟元を掴み、首筋に顔を埋める。
落とされる冷たい唇に、なるべく平静な声を装い返事を返す月。

「疑り深いな竜崎は」

「疑うのが本業ですから」

顔を起こし、じっと見つめる。
月は見つめ返し荒い呼吸の中、溜め息を漏らす。

「素直に抱くと言えないのか」

切れ切れに聞こえる月の短な声ならぬ声に、竜崎が唾を飲む。
二人の呼吸が部屋に響く。

「すみません、抱きます」

先程までの静かな様子が嘘のように彼は月を強く掻き抱く。
月はクスリと笑いを漏らし、竜崎はその口を乱暴に貪った。
そして二人はベッドに流れ込む。
ただお互いを感じあうのだ。



今は、ただ、それだけ。










   −END−


疑うことも、疑われることも常。
だけど今だけ、愛し合って。それだけで。

2004.11.22