二人でテーブルを囲み、プリントやノートを開いている。
いつもの捜査の一環のような気がするが今日は違う。
ノートにはびっしりと埋められている名称や数式。
「ありがとうございます、これなら当分学校に行かなくても済みそうです」
最近では大学へも行かなくなった竜崎が月に頼んでのことだった。
勉強を教えてくれ、と。
「学校は行けよ、竜崎」
月としても別に困ることがあるわけでもなかったので了承した。
竜崎に教えることなどあるのか、そう疑問を持ち続けていたが。
「月くんは教え方が上手ですね」
「そう?」
妹の勉強を見てやることはしていたので教えるのには慣れていた。
しかし竜崎相手に上手い、と言われてもあまりそうは思えない。
彼も月と同じ首席合格した人物なのだ。
1を教えれば10解かってしまう。
こちらとしても話は早かった。
「教師になろうと思ったことは無いんですか?」
「あるよ、だけど父のような人になりたかったからね」
軽い笑いを浮かべ、答える月。
尊敬するのは父。
いつかは父のような警察官になることが夢。
物心付いたときから思ってきたそれはずっと変わらなかった。
「そうですか……」
竜崎はそんな月を見て、嬉しそうに少し口を緩めた。
そんな竜崎を見て、月もつられて笑う。
少しの言葉でも月の心中を察してくれたようで嬉しくなったのだ。
「もう一問教えていただいても?」
「構わないよ」
じっと見つめ、問う竜崎。
そんな彼を見て機嫌良くまた笑いを浮かべる月。
ノートを手に取り、どの問題かとページを繰る。
「月くんと恋人同士になるにはどうしたらいいんでしょう?」
「自分で調べなさいそんなこと」
呆気に取られた月は溜め息を吐きながらノートを閉じる。
そして竜崎をいい奴かも、と思っていた自分にまた後悔するのだった。
−END−
わからないんです、教えてください。
2004.11.21
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