「月くん、そのまま真っ直ぐ行くと落とし穴がありますよ」
公園に来てくれと言われたから何だと思ったら。
「お前…作ったのか」
「はい」
「……そうか」
くだらない、本当に。
流河と会ってから溜め息は確実に増えている。
もちろん、キラのことを除いて。
「危ないので右に避けて通った方がいいです」
流河は僕の横を指差す。
何を考えているかわかりやすい男だ。
これが世界一の探偵Lだって?笑わせる。
足をゆっくり踏み出す。
「あぁ!月くん!右ですって!」
指しているのとは逆。
左へ進む僕に流河は慌てた声を出す。
「「あ。」」
足下が無くなる感覚と、見えている世界の落下。
冷たい土の壁が四面に広がっている。
そして小さな穴から見えるのは青い空と光。
「ワタリ、捕まえました今のうちです」
遠くで喜々した声が聞こえて来る。
這い出そうにも深すぎる。
「クソー!!!」
敗北感と屈辱と痛み。
力の限り叫んでやった。
−END−
あぁ、こういう戦いをしたいわけじゃ…
2004.11.16
|
|