「では皆さんお疲れ様でした」



キラへこれからの対策を十分に話した後、竜崎が終了を告げた。
刑事達が各々に溜め息を吐いたのも束の間。
竜崎はさっさと奥の寝室へと消えてしまう。
何度も聞く扉が閉まる音に、松田達は目を合わせる。

「僕たちが帰った後この広い部屋に一人でいるなんて寂しく無いんでしょうか」

ポツリと松田が呟くと、眉を寄せた夜神総一郎は重い口を開く。

「Lという人物は誰にも知られてはいけない…」

キラ相手に戦うと決めなければ、実際彼に会うことはできなかった。
ここにいなければ一生彼がLだと知ることは無かっただろう。

「それ故、孤独と戦うのもLとしての仕事なのかもしれないな」

それが世界一の探偵、Lなのだ。
重い空気が部屋に流れる。



皆、暫し無言で奥の扉へ視線を送った。












当の竜崎はというと……












「ただいま月くん」



…そんなことも無かった。


ここに彼の言う「夜神月」は、もちろんいない。
しかし部屋の大きなテレビには彼が映し出されている。
その隣には大量のビデオ。
盗撮したときのビデオが再生されているらしい。
それだけでは無く、部屋には写真。
自作ポスターに、彼の部屋の物と同じ色のベッドカバー。
彼の私物らしき服や歯ブラシ。


部屋中が、ヤガミライト一色。


ファイリングしてある彼のデータと写真を眺めながら竜崎はうっとり笑む。
彼の心の中を締めているのは一つだけ。



キラと思われる夜神月に早く逢いたい。



孤独という文字は彼の中に存在しないことは一目瞭然だった。










   −END−


夜神月がいる限り、孤独という文字は無い。

2004.11.13