またか…
最近携帯がよく鳴る。
理由はわかっている。
手を伸ばし、携帯を開くと着信がひとつ。
思わず眉を顰める。
「また竜崎か」
友情ごっこの延長で番号とアドレスを交換し合ってから毎日のようにこれだった。
気がつけば鳴らされている携帯
いつの間にか溜まっていった着信履歴。
始めこそは電話にも出ていたが、最近は通話ボタンも押さなかった。
電話、と言っても深い内容は無い。
言うことは決まっている。
わざわざくだらないことに付き合ってやる必要は無い。
手の中の携帯はまた一つ音を鳴らす。
番号はもちろん見慣れたもの。
ひたすら主張をしている。
うんざりとその画面を眺めながら溜め息を吐く。
このまま電源を落としてしまおうか。
調度そう思った頃、音を立てていた携帯は静かになった。
番号はただの着信履歴に残る。
案外早く切れたその電話。
しばらく暗くなった画面を見つめたがその先は光ることは無かった。
どうやら今日はここまでで終わりのようだ。
もしこのまま掛けてくることがあったら消してやるつもりでいるが。
部屋の電気を落とし、ベッドに入る。
睡眠時間を削られ判断が鈍るなんてごめんだ。
目を閉じおとなしくしていると、睡魔が襲ってくる。
そのまま身を任せていれば眠れそうだ。
ピリ……ッ
突然鳴った音楽にビクリと身体が反応した。
半分眠りの世界に引きずり込まれていた思考がゆっくり浮上してくる。
音を立てた物を忌々しく見つめる。
本当に電源を切ってしまおうかとイラつきながら原因を手に取った。
しかし思っていた番号はその中に表示されてはいなかった。
「メール…?」
今まで電話はしつこいほど何度もあったが、メールは初めてだ。
自身メールは好きではなかったし、竜崎もそうだと言っていた。
だからメールなんて送ってくるなんて思っていなかった。
よくわからないままメールを開く。
件名: 月くん
本文: 愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます愛してます愛してます
愛してます・・・・(続く)
何だこれは。
うまいことにハートに囲まれた文章。
そんな携帯の使い方をどこで知ったんだ。
ピンクのハートの中には同じ言葉がただ繰り返されている。
このメールにどう反応していいのかわからない。
呆気に取られながら液晶画面を見つめる。
延々と繰り返される気持ちの悪い言葉。
スクロールをしながらぐらぐらとしてきた頭を抱えた。
−END−
もちろん愛の言葉はコピーでは無く全て手打ちで。
2004.11.08
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