綺麗な物ほど壊したくなる気持ちってわかりますか?
子供たちが一生懸命作った砂の城だったり、綺麗なケーキだったり。
…………月くんだったり。
「わからないな、僕には」
「そうですか?月くんなら同じ気持ちかと思ってましたが」
ベッドの上で二人、シーツに蹲って余韻を味わっている。
月くんは体を上半身だけ起こし、ベッドの脇に凭れ掛かった。
「綺麗なものならずっとそれを維持していたいと思うのが普通じゃないか?」
細い指先で優しく髪を撫でられる。
見上げたところにある月くんをチラリと見て、目を閉じた。
「そうですかね…」
感じていた気持ちのよい手の動きが止まったのを見て、彼を見やる。
「それに、僕をどう壊すつもりだ?殺す?」
ククッと咽で笑う夜神月はそれだけでとても綺麗だ。
「いえ、そんなことしません」
殺すなんて考えていない。
たとえキラだとしても、たとえ夜神月だとしても。
「私なら………」
言葉を止めたこちらに、不思議そうな顔をする彼。
髪に触れていた手を捕まえ、指先にキスをした。
そこから、ふたり見詰め合ってどちらとも無く口付ける。
徐々に崩されていく整った表情。
それを眺めながらバレないように口の端で笑う。
私なら………
一生、飼い殺してあげますけど
−END−
好きで好きで。
綺麗だからこそ壊したい。私の腕の中で。
2004.10.23
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