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近頃ずっとそうだ。
集中しているときは気にはならないが、ふと気がつくと変わらず向けられている視線。
これは何かの監視なのか。
「竜崎……」
「なんですか?月くん」
体勢を変えず、口だけを動かす。
瞬きをしてるかさえ危うく感じる。
「最近ずっと僕ばかり見てるけど……飽きない?」
「飽きません」
即答で返される。
「それは僕がキラかもしれないから?」
「違います」
これも即答。
「と、言ってもキラとしての興味も皆無とは言い切れませんが」
やはり竜崎という人間としてだけではなく、Lとしても僕が気になるということか。
何か少し敗北感を感じてしまうのは何故だ。
「貴方のひとつひとつを眺めているだけて幸福なんです」
表情に出さずに言葉にする竜崎は本当にそう思っているかも読めない。
態度に表せというと直球で来ることはわかっているから何も言わないが。
そこでふと思いつき、クスリと笑う。
「へぇ、眺めてるだけでねぇ……じゃあ」
テーブルに手を置き、体を乗り出した。
触れ合った唇は、柔らかい余韻を残し離れる。
近づいた距離は元の位置へ。
「これは幸福じゃないのかな?」
にこりと笑ってやる。
「………」
竜崎は無反応でじっと見つめてくる。
Lという人物はこんなことをしても表情を変えないのかと少し舌打ちをする。
おもしろくもない、と資料に目を戻した。
「竜崎?」
しかし、微動だにしない彼が気になって声を掛ける。
彼を見てぎょっとする。
ずっと目を開けっ放しで一点を見つめたまま固まっている竜崎。
「お、おい竜崎!竜崎しっかりしろ!!」
体を揺すっても何の反応もせず、じっと動かない。
竜崎が状況を飲み込めるのはきっと何時間も後のこと。
-END-
普段あんなにしつこいのに、何でこんなことに弱いんだよ。
これも計算の内なのか?
2004.10.19