「キラと僕どっちが好き?」




資料に目を通していた夜神月が突然質問をしてきた。
意味がわからず、試しているのかと思ったが、そのまま口にしてみることにした。
「……私はキラは夜神くんじゃないかと疑って」
「うん、わかってるよ」
あっさり言いたいことを切られる。
機嫌が悪いのかと思ったがそうでも無いらしい。
「僕じゃないと言っても考えは変わらないだろ?だからそうじゃなくて」
若干の苦笑を浮かべながら、それでも明るく言う。
疑われることに慣れたわけでは無いらしいが、今は質問のする方が大事と判断しているらしい。
「僕じゃない、とわかったとして」
この先、あるかもしれないだろうというのを匂わせている。
「キラと僕と、どっちが好きなの?」
もう一度始めの質問を繰り返す。
「一番良いのは夜神くんがキラだという結果なんですが…」
キラも月くんも同一人物としての疑いを強くしてきた。
月くんへは、自分の彼への想いに気付いてからずっと愛を説いてきた。
探偵として追うキラも、男として恋をしている夜神月もどちらも魅力的なのだ。
どちらも掛け備えている人物がいるとすれば、それほど素晴らしいことは無い。
「それ以外で、どっち?」
そんな私の気持ちを表した言葉を否定して、もう一度問う。

それ以外……







「…どちらが………ですか」










夜神月のような人物がキラとして疑っていなかったが……

彼が言う通り彼とは掛け離れた容姿の人物かもしれないということもあるということだ。

月くんのような美しい人などそうそういるものでは無い。

月くんより劣る者だという可能性は限りなく高い。

平凡な男子学生、地味な中学生。

有り得る話だ。

いや、もしかしたら女かもしれない。

第二のキラが女だから間違ってはいない。

ヤマンバやギャルと呼ばれるような知能の低そうな奴がキラだとしたら?

先住民のような女を好きになれるか?

まぁ濃い化粧を落とせばそれなりに見れる顔なのかもしれない。

しかし弥海砂みたいにモデルをやっている顔の良い者という保障は無いだろう。

顔が悪いというのか、顔が?

むしろ顔が悪いというのはどこからだ。

セル第一体型(ドラゴンボール)みたいな顔か?

あれは嫌だ、あれはさすがに嫌だ。

それが女か男によっても違うだろう。

そんな人物に私が惚れるとは思いにくい…

人間は顔じゃない。いや、そんな人物は滅多にいないはず。

それにまだ女か男かは決まっていないだろう。

年齢も決まったものではない。

子供、という考えからしてその幅は広いものだ。

もし小学生だとしたら…?

ロリコンか。私はロリコンになるのか。

女と決まったわけではないのだからショタコンという可能性も…

いや、年齢はなんとかなるとしても容姿。

顔は普通でも、髪の毛がおかしいのかも。

…相沢さんみたいにアフロという可能性もある、いやもしかしたらモヒカン?むしろ逆モヒカン?

逆モヒカンは辛いだろう。

スキンヘッドはまだしも逆モヒカンは。

しかもその髪型にこだわりを持っていたとしたら……やめろなんて言えない。

ファッションセンスが悪かったら?

私も人のことが言えるわけでは無いが、好きな色が「パッションピンク★」なんて言われたら…

服もどこのカーニバルから来たんだと思うようなものを好むかもしれない。

いや、どこかの民族の衣装、大事なところだけ隠す服を好んで着ているかも?

そうだ、体重も物凄かったらどうすれば…

私以上の甘党で、生クリームボウルに5杯は行けますという人かもしれない(しかもすべて体内に吸収)

そのときはデ○ヤ(某食事番組)にでも入りなさいと言うしか……







待て、すると全ての考えを統合してみると…………



















思い至ったキラ想像に頭の血の気が下がった気がした。
ソファに乗せていた足もつい力無くだらりと落ちてしまう。
推理力40%減だ。




「キラはやはり夜神くんでお願いします」




「おい、聞いてたか?僕の話」
不服な目でじろりと見られる。
しかしそんな恐ろしいこと考えられるわけが無い。
私と張り合うキラが、あの恐ろしい人物であるということ事態間違っている。
だからといって夜神月だと簡単に選ぶことができない。
何故ならキラという人物だから、その理由しかないだろう。
殺人者キラという人物も魅力的なのだ。
しかし……しかしアレは………


いや、そもそもこの結果は初めから決まっていたのだ。
夜神月はキラ、そういうことならうまく纏まる。
だからあんな人物がキラであるわけが無い。










「キラは夜神くんなんです!」










   −END−


夜神君らしいです(知るか)

2004.09.26