舌を柔らかく吸われ軽く歯を立てられる。

「………んッ」

ゾクリと背中を走るものを感じて思わず声を漏らす。

「はぁ……っ」

絡まっていた舌が離されると透明な糸がつぅと伸びて消えた。
竜崎は名残惜しそうに唇に軽くキスを落として体を離す。

「りゅ……ざき」

うまく呂律の回らない口で名前を呼ぶと、嬉しそうに口の端を上げる。
その様子をぼうっと眺めていた。
竜崎はぎゅっと強く抱きしめて、それからこちらが指を一本をも動かす前にその腕はすっと離れた。

「遅くまで引き留めてすいませんでした」

部屋のドアまで送ってくれる竜崎。
一応引き留めていたという自覚はあるらしい。

「では。明日、また」

「うん、また明日。」

優しく笑んで、パタンをドアを閉めた。



















エレベーターへ続く廊下を歩きながら首を捻る。
こんなに早く帰る日は久々だったから。


あれ、そういえばいつもならもっとしつこいのに意外にあっさり…。

今日は帰しませんとか一緒にいてください、とか。

言われないなら言われないで疲れなくて助かるけど。

それはそれでちょっと寂しいかも。






さび、しい?







何考えてるんだ僕は、寂しいなんて!


『どうした?月』

「うるさい!」


あいつがいつもと違う行動取るから悪いんだ!

そうだ、竜崎のせいだ!!


外にも関わらずリュークに向かって大声を出す。
珍しく混沌としている思考をぶつけるように乱暴にエレベーターのボタン押した。










   −END−


なんかもう苛々するなあ!

2004.09.24