あれ?
「………あの、どうしました?夜神くん?」
珍しく、僕の方から近づいて、しかも間近で顔を覗き込んでいる。
流河はしばらくは見て見ぬふりをしていたけど、思い詰まってかやっと伺うように話しかけてきた。
「いや、ごめん。流河の瞳の色って変わってるなと思ってね」
真っ黒な目なのかと思ったらの色は黒々とした紫というか、灰色というか。
とにかく変わっている。
日本人らしい黒を持っているのにどこか日本人離れしている。
本当に謎な男だ、Lという人物は。
そんなことを思いながらなおもまじまじと見ていると流河はまた視線を逸らした。
「そ、そうですか…」
「何?どうした?」
視線を追って目を無理矢理合わせてやっても、流河はまたふいと逸らす。
声も絞り出すかのように小さい。
「いいえ…別に」
照れてる?流河が?
そう思うと優位に立っているような気分になる。
普段知らぬ顔で追い詰められたりしているから余計だ。
「もっと見ていいかな、流河?」
「え……」
にこりと笑顔を浮かべてそう言ってやる。
思ったとおり流河は戸惑った顔をした。
そんなこと予想範囲だったので、内心にやりと笑う。
「嫌なのか?」
お得意の演技を披露してやる。
切なそうに上目使いを向けてやると流河の咽がうっと詰まった。
「そういうわけじゃ……無いですけど」
「ならいいよね」
その言葉を待っていた。
先程浮かべた顔を笑顔に変えて微笑む。
「や、やめてください」
逃げる流河の肩に手を置いて、逃げる顔を追いかける。
「ほら、こっち向きなよ流河」
珍しくかなり嫌がる流河に上機嫌になってくる。
こいつでも焦ることがあるのかと思うと楽しくてしょうがない。
「やめ、やめ、やめてください!」
「そんなことされたら襲ってしまうじゃないですか!」
「「……………………」」
「ごめん」
「いいえ」
−END−
可愛い彼氏(攻)
2004.09.22
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