「ん…っ」
夜の一室。
ギシギシと軋むベッドの音と、自分の身体が軋む音が聞こえる。
「いだっ!痛いっての!バージル!!」
「ほら、力を抜け、ダンテ」
ぬけぬけと言ってのける。
冷静な声が更にムカつく。
無理なことをしているんだ、痛いのは当たり前だ。
それをコイツは……!やめようともせず、その上要求までするなんて。
しかし抵抗したって辛いのは自身で、なんとか力を抜こうと息を吸って吐いてを繰り返した。
早く終わらせるため、少しでも楽になるため。
決してこの男のためじゃなく、自分のためだ。
チクショウ。何でこんなことになってんだ、俺が何した…!
「ッあ!」
口から漏らした自分らしからぬ声に驚いて息を詰めた。
その張本人を見上げるとニヤリといやらしい笑みをバージルが見えて血の気が引いた。
こ、のヤロウ。楽しそうな顔をしやがって。
息を吸おうとするとタイミングを見計らって馬鹿兄が動く。
わざとやっているのは見え見えだ。
しかし腹が立っても、殴る力も蹴り飛ばす余裕も持ち合わせていない。
「ん、んんー!」
どうしても漏れる声を少しでも押さえるには間抜けな姿だがシーツを噛み締めるしか無かった。
痛い、痛い、苦しい、最低の中の最低だ!
何で男に掘られなきゃなんねぇんだよ。
バージル、後で覚えとけよ。
「うぅぅ…クソ兄貴ーッ」
叫んだ言葉に兄はまた笑みを浮かべ、また動きを速めて、零れそうな奇声を慌ててシーツで抑えた。
−終−
朝は形勢逆転ってことで。
2005.12.19
|
|