至って真面目
「うそだ、嘘、信じねぇ」
「何でそんなこと言うんスかねえ」
こちらは至って真面目なのに、とわざとらしく大きな溜息を吐く。
「じゃあ」ギラリと翠の瞳がこちらを写して、ぎくりと身体が凍る。
一歩、近寄っただけの距離なのに落ち着かない。
まるですでに捕らわれてしまっているような。
「冗談でもいいから聞いて」
色素の薄い大きな手がこちらの手を取る。
今から紡がれる言葉は聞いていいのか、それとも。
迷っている内も、彼の唇は言葉を刻むことをやめない。
「もう一度、アナタに告白しますから」
真剣な瞳が小さく火を灯す。
−終−
ちゃんと聞いて。
2005.06.20
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