勝手な人
会いに来る時はいつも窓から。
約束なんかは取り付けない。
ためらい無く刀を振り降ろす手で優しく撫でる。
好きって言ったと思えば冗談ですよと返す。
浦原アンタって本当に
「勝手だな」
突然つらつらと、呟く一護に浦原は目を何度か瞬かせて
「ハイ?何スかいきなり」
問うと、眉間の皴をそのままに口を少し尖らせいつもより幼い顔を見せる。
「俺はアンタといると振り回されてばっかりだ」
ズルイ、と言わんばかりに拗ねた風をする一護に、浦原は帽子を直しながら溜息を漏らす。
「なーに言ってんスか、素でアタシを翻弄してるくせに」
「あぁ?何?」
半ば彼が自分自身に言い聞かせるように言った言葉は一護に届くことは無かったようで。
それでもいいかと、今日二回目の溜息を吐きながら浦原は一護の手を取った。
帽子の唾で目元が隠れないほどに近付けば、一護はさっと顔を赤くする。
そんな彼を見て浦原はまた笑う。
「ちょっとはアタシに振り回されてくれたって罰は当たらないでしょ」
奪うようにキスをした。
−終−
恋なんてそんなもの。
2005.06.20
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