different?




うちの兄貴は何をとち狂ったのか、弟である俺に求愛を捧げている。
きちんと半殺しにするつもりであしらったにも関わらず家に居座るバージルを見て、溜息を吐いた。
「何で俺なのかね、同じ顔してんのに」
どこに欲情する、なんてぬかすんだろ。
俺たちは双子。
性格はともかく鏡見てるみたいなもんだろうに、そんな相手をヤりたいなんて思うものなんだろうか。俺なら思わない。
「何言ってる、違うだろう?」
バージルが顔を顰めて訴える。
「どこが。一卵性双生児だぜ?まんまだろ」
「フ…馬鹿だな、ダンテは」
やれやれと首を竦めて見せるその様に、ムッとしてしまう。
頭が良いという自覚はけして無いが、俺のいうことが間違っているとも思わない。
「じゃあどこが違うって言うんだよ、言ってみろよ?」
そういうと、バージルは顎に指を掛け、考えたポーズを取った。
俺はデスクから、ソファに座るバージルの横にどっかと腰を下ろす。そして兄の言葉を待った。
「そうだな、違うと言えるのは、まず目だな」
「目ぇ?」
色も同じだろう?
隣のバージルの目を覗き込むと、伸びてきた指に目元を静かに撫でられた。
一瞬体が凍ばってしまったが、その手が昔撫でてくれたそれを思わせてくるので、気がすとんと抜けた。
「目尻が柔らかいところが…そうだな、お前は母に似ている」
無愛想な顔が少し、優しく微笑んだ。
「俺、そんなこと一回たりとも言われたこと無ぇんだけど」
父親であるスパーダに似ているとなら何度も言われた。
顔の作りも、そして髪の色も、体格もスパーダ譲りだと思っている。
俺とバージルを並べて、俺が母さん似だという兄は目が腐っているとしか思えない。
「あと唇、少し厚めだな、好みだ」
するすると頬を掠め、辿り着いた唇をバージルはその形に沿ってなぞる。
その触れ方はどう考えてもやらしい部類に入るものだ。
調子に乗りやがって。
「オイ、それ以上触ったら鉛玉ぶち込むぞ」
愛銃二丁の銃口を兄の額に突きつける。
お兄様は撫でる手を、ホールドの形で上に掲げた。
やっぱりコイツはおかしい、と今日二度目の溜息を吐いた。







   −終−







双子なのに、こんなに違うなんて…




2005.11.04