逆手
「何で!」
その天然の金髪を振って、涙交じりの抗議の声を荒げる。
「何で他の子と遊んじゃいけないの!」
だって、メロは私だけのもの。
他のやつらと仲良くするなんて許せません。
「ニア!」
「私と喋れなくなるのと、他の人と喋れないのどっちがいいんですか」
メロは私のことを捨てられない。
わかっていてする質問。
悔しそうに唇をかみ締めて、涙が出そうなのを堪えて。
黒の服をぎゅうと握り締めている。
「出掛けなくても?」
白々しい問いだと自分でも思う。
「………ニアと一緒にいられないのはヤダ」
だからここにいる、と。
膝を抱えて、傍に小さく座る。
私は手元のパズルの最後のピースを埋める。
愛しい愛しい、メロ。
私だけを見て生きていけばいいんだ。
−END−
からっぽな少年に浸透する少年の想い。
2005.5.3
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