彼と僕と、アイツ



「Lが…死んだ」
施設の奴らも、教師だって、いつもニアばかり見てた。
影で人の倍、それ以上努力した。
寝る時間を惜しんで、勉強したし、色んな知識を得るため本だって読み漁った。
別にニアのことを嫌いというわけでは無かったはずなのに、いつの間にか恨みや憎みとしてしか見られなくなったのも事実。
それなのにやはり追いつくことはできても、追い抜くことは出来ず、少しでも気を抜くといつも差は開いてしまう。


Lだけだった。

彼だけが僕の才能を認め、受け入れてくれた。
彼のようになるのが夢で、彼のように生きてきたつもりだ。
空虚の中でも暖かく、Lだけが僕の存在意義だった。
「Lが…」
そのLが。


「死んだ」


これから誰が僕を見てくれる?
L、アンタだけが。



「でLは僕とニアどっちを…」


あるのはまっさらな空と、きいろい砂漠。
ひとりでポツンと一人立つ。
外は雨。窓ガラスに大きく当たる水玉。


涙も出ない。











空虚なひとりに、ほくそ笑むひとり。

















   −END−


気付かずにそこに。

2005.5.1